【郡上大和】うなぎ屋「嘉門」開業ストーリー|世界一周からうなぎ職人への道

こんにちは。嘉門の大将です。

今回はうなぎ屋を始めた経緯を書きたいと思います

うなぎって、なぜか特別な存在ですよね。焼き肉や寿司と並ぶごちそう御三家に入ると思っています。

それはただの食べ物ではなく、食べたときの感動や、家族や友人と一緒に味わう喜びが詰まっているから。
うなぎ屋を始めたきっかけも、まさにその「感動」でした。

1. うなぎの美味しさに感動して、決心する

「うなぎってこんなに美味しいんだ!」と感じた瞬間、それはまさに驚きでした。
思わず、手を止めて、じっくり味わっていました。炭でじっくり焼き上げたうなぎの香ばしい香り、ふっくらとした身、そしてタレが絡んで口の中で広がる味わい。一口食べると『うめぇー!』という心の声が今でも漏れ出てしまします。

その後、家でまだ小さい息子たちとうなぎを食べると、息子たちの「おいしい!」と言ってぺろりと食べる姿に驚かされました。

どちらかというと食が細いのに鰻の時だけは、おかわりまでするのでびっくりしたことを覚えています。
うなぎの美味しさって、老若男女、どんな世代をからも愛されるし、世界各国の人々からも愛される、日本人のDNAに刻み込まれた美味しさだと本当に思っています。

そんなことに気づいた瞬間もだし、子供たちの美味しそうにうなぎを食べる姿を見て、「うなぎ職人になる」と勝手に決めました。

2. 人力車からうなぎ職人へ|日本を愛し、世界を見て感じたこと

実は、以前、人力車の車夫として鎌倉で働いていました。観光地でお客さんを乗せて走り、町の魅力を紹介するという、日本らしい仕事が大好きだったんです。
それが仕事のスタイルであり、天職だと思っていたので人生そのものでした。

それくらい人力車の仕事が楽しかったし、若い頃に仕事に没頭できたことも、僕の人生の中でラッキーなことの一つ。若い時の苦労は買ってでもしろと言われるけど、本当に若い時がむしゃらに何かに打ち込んだ経験というのはその後の人生の強力な後ろ盾になってくれると思います。

ニュージーランドでの一枚

若い頃には世界一周も経験し、様々な国を訪れて異文化に触れました。海外の食や文化にも触れることで、さらに日本の良さ、特に日本料理の魅力に気づかされました。
今振り返ると、その中でも、うなぎという料理は、まさに日本を代表する食文化の一つだし日本が大切に守らなければならない伝統的な味。

今ではこのうなぎという食文化を守っていくんだ。という使命感も何故か勝手に持っています。

3. 開業への道|苦難の日々、そしてやっと見つけた「嘉門」

うなぎ屋を開業しようと決意してからも、道は当たり前ですが平坦ではありませんでした。
物件がなかなか決まらないし、開業してからもお客さんは少なく貯金はどんどん減っていくばかり。時には「自己破産」とネットで検索してしまうような心情になったこともあります。
それでも、日々試行錯誤を繰り返して何とか何とか日々を繋いできました。

想像以上にストレス一杯な日々が続きました。オープンして1か月で10キロ痩せたり、謎の高熱が出て、体中が痛くなったり。

でもそんなときに、若い時になにくそ魂で仕事に没頭した根性で乗り越えました。その当時はこんなに頑張ってどうなるねん。みたいに悲観的に思う時もあったけど将来の自分を奮い立たせてくれる大切なことで、遠いところにある過去の点と、今現在の点がちゃんと繋がって線になる様に人生ってなってるんだと思いました。

今でも、お客さんが少ない時とかは嫌だけど、だいぶ精神的にも強くなったので、体調を崩すこともなくなりました。

今こうして無数にある飲食店の中から【嘉門】にご来店してくださるお客様には本当に感謝の言葉しかありません。お客様に不愛想にするお店の人って、どうしてそんなことが出来るのか本当に不思議に思います。鋼のメンタルですね。

4. 店名「嘉門」|沢山の人に美味しいうなぎを届けたい

店名の「嘉門(かもん)」は、響きが良く、どこかポジティブで人を引き寄せるような感じがしました。【嘉】という字は縁起もよい字です。
さらに「カモーン(Come on)」という呼びかけの意味も込めて、沢山の人に来てもらい、美味しいうなぎで幸せを感じてほしいという想いを込めています。

人生と一緒で、あまり真面目過ぎても、硬すぎても面白くないので、どうしてもうなぎ屋だと堅物のイメージがあるから、逆張りで笑いの要素も入れました。

5. 炭で焼くうなぎの美味しさにこだわる理由

うなぎを焼く方法にはこだわりを持っています。それが「炭火焼き」です。
他の焼き方ではダメなんです。

炭で焼くうなぎの香ばしさと、ふっくらとした身の美味しさには絶対に敵いません。うなぎの油やタレが炭に落ち、その煙で燻されることでしか出せない味があります。僕はあの鼻に抜ける炭の香り、炭の感じが大好きです。
炭の火加減がうなぎにぴったりと合い、じっくり焼き上げることで、その旨味が最大限に引き出される。

この「本物」の焼き加減を味わっていただきたいから、手を抜くことはありません。

6. 食事が生む「笑顔」と「幸せ」

「美味しいものを食べると笑顔が生まれる」と思っています。

実際若かりし頃、今の嫁さんと世界一周している時も、どうしても四六時中一緒にいると喧嘩っぽくなってしまうが時あります。口を利かない時もあります。でもそんな時、僕たちの約束事は『美味しいものを食べる。』という事。

美味しいものはそんなちょっと険悪なムードの時でも、パーっと目の前の空気を明るくしてくれます。笑顔にしてくれます。


嫌なことがあった日でも、けんかをしてしまった日でも、うなぎを食べると必ず笑顔が生まれると信じています。
うなぎを食べて、お腹も心も幸せいっぱいになってほしい。そんな気持ちで、毎回真心を込めてうなぎを焼いています。

7. 最高の焼き加減を目指して

毎回心掛けているのは、最高の焼き加減でお客様にうなぎを届けることです。
炭火で焼き上げるその瞬間が、まさに職人としての醍醐味。お客様にお出しする瞬間を、一番大切にしています。
どんなに忙しくても、どんなに大変でも、「今、この瞬間に焼くうなぎは最高だ」と自信を持って提供しています。


📍 店舗情報

地焼きうなぎ専門店 嘉門(かもん)
〒501-4603 岐阜県郡上市大和町徳永164-2
営業時間:11:00~14:00(L.O.)/17:30~19:00(L.O.)
定休日:水曜日・第2第4木曜日
※夜営業は平日予約制となります

8.うなぎを通じて、幸せなひとときを

今日も、炭火を前にうなぎと向き合っています。
香ばしく焼き上がったうなぎが、旅の途中のひと息になり、ご家族の会話を弾ませたり、何気ない一日をちょっと特別にしてくれたら——それ以上の喜びはありません。

郡上観光の途中で、ふと思い出していただけたら嬉しいです。
「うなぎが食べたいな」と思ったら、ぜひ嘉門ののれんをくぐってみてください。
炭火の香りと、心を込めたうなぎ料理でお待ちしています。